親が亡くなった後、携帯電話、新聞、電気・ガス・水道などの契約は、すべて解約すればよいわけではありません。
亡くなった本人だけが使っていたものは解約し、残された家族が使い続けるものは契約者や支払方法を変更します。先に分けて考えないと、暮らしに必要なサービスまで止めてしまう可能性があります。
私の母の場合、電気・ガス・水道はもともと父名義だったため変更していません。母の携帯電話は、必要な連絡先を確認した後に解約しました。新聞は父が引き続き読むため、父から販売店へ連絡し、契約・支払方法を変更しています。
この記事では、私が実際に進めた内容と通信事業者などの公式情報をもとに、解約と引継ぎの分け方、携帯電話を解約する前の確認、端末を売却・回収へ出す前のデータ処理を整理します。
本記事は筆者の経験と、2026年8月27日時点の公式情報をもとにしています。必要書類、解約日、最終請求、データやポイントの取扱いは契約先によって異なります。手続前に各事業者の最新案内をご確認ください。
先に結論:「止める契約」と「残す契約」を分ける
最初に、契約ごとに次の3つへ分けます。
| 分類 | 例 | 主な対応 |
|---|---|---|
| 本人だけが使っていた | 携帯電話、本人用サブスク | 必要な情報を確認してから解約 |
| 家族が使い続ける | 新聞、固定電話、インターネット | 契約者・請求先・支払方法を変更 |
| もともと家族名義 | 父名義の電気・ガス・水道 | 死亡を理由とする変更は原則不要。支払方法だけ確認 |
「亡くなった方の名義か」だけでなく、「誰が今後使うのか」「どの口座・カードから払っているのか」まで確認するのがポイントです。
私の場合に行ったこと
電気・ガス・水道
実家の電気・ガス・水道は父名義だったため、母が亡くなったことによる名義変更はしていません。
ただし、契約名義が父でも、支払いが母名義の口座やカードになっていないかは別に確認する必要があります。私の場合も、名義と支払方法は分けて考えました。
母の携帯電話
母の携帯電話にはロックがかかっておらず、お通夜に連絡したい友人の連絡先を確認できました。その後も、家族が把握しておく必要のある連絡先を確認し、必要な方とは連絡先を交換したうえで回線を解約しました。
母が亡くなった直後、この携帯電話は単なる通信機器ではありませんでした。私たち家族が知らなかった母の友人へつながり、母と関わりのあった方へ知らせるための手掛かりでもありました。もしロックがかかっていて中を確認できなければ、連絡できなかった方もいたと思います。
解約後も端末は手元に置き、写真や連絡先などのデータは消していません。今後、必要なデータを取り出し、端末を保管するか、売却・回収へ出すかを決める予定です。
新聞
新聞は父が引き続き読むため、解約ではなく変更を選びました。父から新聞販売店へ連絡し、契約名義と支払方法の変更を済ませています。
新聞代は母名義の銀行口座から引き落とされていたため、銀行の相続手続へ進む前に新聞側の契約名義と支払方法を変更しました。
携帯電話は解約前に「連絡先」以外も確認する
携帯電話には、電話帳や写真だけでなく、さまざまな手続の入口が残っています。
- 家族・友人・勤務先などの連絡先
- 写真・動画・音声・メモ
- SMSで届く本人確認コード
- キャリアメール・Gmailなどのメール
- 銀行、証券、カード、通販などのアプリ
- LINEなどのメッセージアプリ
- モバイルSuica・電子マネー・ポイント
- Apple Account・Googleアカウント
- 月額サービスやアプリ内課金
回線を解約すると電話番号・SMS・キャリアメールが使えなくなるほか、ポイントや契約に付随するサービスが失効することがあります。必要な情報がある場合は、解約前に何を保存し、どの契約先へ連絡するか確認します。
ただし、故人のアカウントへ無制限にログインしてよいという意味ではありません。家族の連絡や死後手続に必要な範囲を整理し、金融サービスなどは各社の正式な死亡手続を利用します。
亡くなった契約者の携帯回線を解約する一般的な流れ
- 携帯電話会社を確認する
端末、SIM、請求書、カード明細などから契約先を確認します。 - 解約か承継かを決める
電話番号を家族が引き継ぐ必要がある場合は、解約せず「承継」が可能か先に相談します。 - 必要書類を確認する
死亡の事実が分かる書類、来店者の本人確認書類、SIMなどを求められることがあります。 - 最終料金を確認する
解約日までの利用料、端末の分割代金、関連サービスの請求を確認します。 - 回線を解約する
店舗、郵送、オンラインなど、契約先が案内する方法で行います。 - 請求が終わったか確認する
翌月以降に最終請求が届く場合があります。
例えばNTTドコモは、死亡による解約時に、死亡を確認できる書類、UIM・eSIMカード、来店者の本人確認書類などを案内しています。auも、死亡による解約と、家族が契約を引き継ぐ承継を分けて案内しています。
必要書類と受付方法は携帯電話会社・料金プランによって違います。契約者本人のパスワードを使って通常解約するのではなく、「契約者が亡くなった場合」の窓口を利用します。
回線を解約しても端末内のデータは残る
携帯回線の解約と、端末内データの消去は別の手続です。回線を解約しても、端末を初期化しない限り、保存された写真や連絡先などは通常そのまま残ります。
Wi-Fiへ接続すれば使える機能もありますが、電話番号、SMS、キャリアメールなどは利用できません。クラウドだけに保存されているデータは、アカウントへアクセスできなくなると確認できない可能性があります。
私も、解約後の端末をそのまま保管しています。今後は、家族にとって残しておきたい写真や連絡先を先に別の場所へ保存し、必要なデータがなくなったことを確認してから端末の処分方法を決めます。
回線を解約したことで、母の電話番号はもう連絡先として使えません。それでも端末には、母が見ていた写真や、誰とつながっていたかを示す記録が残っています。手続上は「不要になった端末」でも、家族にとっては遺品の一つです。価値があるから残す、売れるから手放すという二択ではなく、気持ちの整理がつくまで保管する選択もあると思います。
端末を売る・回収へ出す前の確認順
- 誰が端末を引き継ぐか確認する
故人の所有物であるため、相続人間で扱いを共有します。 - 必要なデータを保存する
写真、連絡先、書類などを別の端末・パソコン・外部媒体へコピーします。 - 電子マネーなどを確認する
残高や移行手続は各サービスの正式な窓口へ確認します。 - Apple・Googleなどのアカウントとの関連を確認する
端末を第三者が使える状態にするには、端末のロックだけでなくアカウント側の解除が必要な場合があります。 - SIM・eSIM・SDカードを確認する
物理SIMやSDカードを抜き、eSIMの消去方法を確認します。 - 端末を初期化する
必要なデータの保存後、メーカーの案内に従い工場出荷状態へ戻します。 - 買取または回収を選ぶ
機種、状態、ロック解除の可否、端末代金の残債などを確認します。
モバイル・リサイクル・ネットワークは、端末を廃棄・回収へ出す前にデータ移行を行い、その後に初期化することを推奨しています。携帯電話会社のショップでは、端末・電池・充電器の回収や、初期化の補助を受けられる場合があります。
iPhoneでは、売却や譲渡の前に「すべてのコンテンツと設定を消去」し、「探す」やアクティベーションロックを解除できる状態にする必要があります。Androidも、必要なデータをバックアップし、Googleアカウントとの関連を整理してから初期化します。
ロックやアカウント情報が分からない場合
端末のロック番号、Apple Account、Googleアカウントの情報が分からない場合は、自己流で何度も解除を試す前に、メーカーや公式サポートへ相談します。
Appleは、故人のApple Accountに関するアクセスや削除の手続を案内しています。Googleも、故人のアカウントの閉鎖や、一定の場合にデータ提供を申し込む窓口を設けています。ただし、パスワード自体が家族へ提供されるわけではなく、審査によって希望どおりにならない場合があります。
購入証明や相続関係を示す書類が必要になる可能性があるため、端末の箱、購入時の書類、請求書は処分せずに保管します。
端末買取への導線は別記事で詳しく扱う
初期化でき、家族間で売却することに合意できた端末は、携帯電話の買取サービスを利用する選択肢があります。
ただし、故人が毎日使っていた携帯電話は、同じ機種の中古端末とは意味が異なります。写真やメッセージを保存した後でも、「本当に手放してよいか」と迷うことがあります。買取価格を確認する前に、家族の誰かが残したいと思っていないか、端末そのものを形見として保管するかを話しておく方がよいと考えています。
売却を選ぶことも、思い出を軽く扱うことではありません。必要な記録を残し、家族で納得したうえで、使える端末を次の人へ渡す手放し方もあります。反対に、急いで結論を出す必要もありません。
ただし、端末買取では、機種・容量・状態・ネットワーク利用制限・アクティベーションロック・付属品・分割残債などが査定に影響します。データが残った端末を、急いで買取業者へ送るべきではありません。
今後、次の内容を別記事として作成します。
- iPhone・Androidを売る前のデータ消去
- 初期化とアカウントロック解除の違い
- SIM・SDカード・電子マネーの確認
- 店舗・宅配・キャリア回収の違い
- 買取業者のデータ消去方針と返送条件の比較
買取サービスを紹介する場合も、広告案件の有無より先に、データ消去、会社情報、査定・キャンセル条件を確認します。
新聞・公共料金は「解約」より「引継ぎ」になることがある
実家で父が暮らし続けるため、新聞は父名義へ変更しました。電気・ガス・水道は父名義だったため変更していません。
もし亡くなった方の名義だった場合も、住んでいる家族がいるなら、いきなり停止するのではなく、契約者と支払方法の変更を相談します。
| サービス | 確認事項 |
|---|---|
| 電気・ガス・水道 | 契約名義、使用場所、支払口座・カード |
| 新聞 | 継続する人、契約者、販売店、支払方法 |
| 固定電話・インターネット | 家族が利用するか、セット契約があるか |
| NHK・放送サービス | 世帯の契約状況、名義変更・解約の要否 |
| 見守り・警備サービス | 家族の生活に必要か、機器返却があるか |
| 定期購入・配達 | 商品が届き続けていないか |
私の家では、携帯電話と新聞以外に大きな契約は見つかりませんでした。家庭によっては、動画配信、クラウド保存、通販会員、オンライン新聞、介護・見守りサービスなども確認対象になります。
クレジットカードを解約する前に最終請求を確認する
母の携帯電話代は母名義のクレジットカードで支払われ、新聞代は母名義の銀行口座から引き落とされていました。
携帯電話を解約し、新聞の契約名義と支払方法を変更したことで、カード払いと口座引き落としの主な継続契約を整理できました。次は、ほかにカード払いが残っていないか、解約後の携帯料金などの最終請求がないかを確認し、カード会社へ死亡による解約を連絡する予定です。
カードを先に解約すると、必要なサービスの支払いができず、未払いの連絡が届く可能性があります。一方で、確認のためにカードを長期間そのままにするのではなく、明細と契約を整理したら正式な死亡手続へ進みます。
まとめ:生活に必要な契約を残してから解約する
- 契約を、本人だけが使うもの・家族が引き継ぐもの・家族名義のものに分ける
- 携帯電話は、連絡先や必要データを確認してから解約する
- 電話番号を残す場合は、解約前に承継できるか携帯電話会社へ相談する
- 回線解約後も端末のデータは自動消去されない
- 売却・回収前にデータ保存、アカウント解除、SIM確認、初期化を行う
- 新聞や公共料金は、残された家族が使うなら名義・支払方法を変更する
- クレジットカードは、継続払いと最終請求を確認してから死亡による解約へ進む
亡くなった方の契約を整理する目的は、すべてを急いで止めることではありません。残された家族の暮らしを守りながら、本人だけが使っていた契約を一つずつ終了させることが大切です。
次に確認する手続き
継続契約の名義・支払方法を整理したら、クレジットカードの利用残高と最終請求を確認して死亡による解約へ進みます。
情報源・確認日
- NTTドコモ|契約者の死亡による解約(2026年8月27日確認)
- au|契約者の逝去による承継・解約に必要な書類(2026年8月27日確認)
- au|譲渡・承継(2026年8月27日確認)
- モバイル・リサイクル・ネットワーク|個人情報保護の取組み(2026年8月27日確認)
- モバイル・リサイクル・ネットワーク|回収・再資源化の概要(2026年8月27日確認)
- Apple|iPhoneを消去する(2026年8月27日確認)
- Google|故人のアカウントに関するリクエスト(2026年8月27日確認)
- Android|端末の初期化と事前準備(2026年8月27日確認)

