親が亡くなった後の銀行口座|連絡時期と凍結前の確認

親が亡くなった後の銀行口座と支払いの確認を示すアイキャッチ 葬儀後の手続き

親が亡くなった後、銀行にはいつ連絡すればよいのでしょうか。

「連絡すると口座が凍結され、公共料金や生活費の引き落としが止まる」と聞くと、残された家族の暮らしを考えて連絡をためらうこともあると思います。

私の母の場合、銀行口座の所在は父が把握し、通帳やキャッシュカード、銀行からの郵便物も見つかっています。ただ、母名義のクレジットカードで携帯電話代が支払われ、新聞代は母名義の銀行口座から引き落とされており、父は今後の生活費に不安を感じているようです。そのため、銀行の相続手続にはまだ着手できていません。

この記事では、私自身がまだ手続の途中にいることを明らかにしたうえで、銀行への連絡期限、口座凍結の仕組み、止まると困る支払い、遺産分割前の払戻し制度を公式情報から整理します。

本記事は筆者の状況と、2026年8月27日時点の公的機関・金融機関の情報をもとにしています。銀行ごと、相続関係、遺言書の有無などによって必要書類や取扱いは異なります。実際の手続は、取引金融機関の相続窓口へご確認ください。

先に結論:連絡前に生活の支払いを整理し、正式な手続へ進む

銀行へ死亡を連絡する日について、「死亡後○日以内」という一律の法定期限はありません。しかし、亡くなった方の預金は相続財産です。口座をそのまま家族の生活口座として使い続けたり、故人のカードと暗証番号で引き出したりすることは避けます。

一方で、何も確認せずに銀行へ連絡すると、故人名義の口座から支払っていた電気・ガス・通信費などが止まり、残された家族の生活に影響することがあります。

大切なのは、凍結を避けるために連絡を引き延ばすことではなく、次の順番で暮らしへの影響を小さくしながら正式な手続へ移ることです。

  1. 通帳・カード・郵便物を集める。ただしカードは使わない
  2. 口座への入金と、口座・クレジットカードからの支払いを一覧にする
  3. 残す契約は支払方法を変更し、不要な契約は解約を申し出る
  4. 残された家族自身の生活費を確保する方法を確認する
  5. 分かる範囲を相続人で共有し、銀行の相続窓口へ連絡する

銀行への死亡連絡に一律の法定期限はない

銀行へ名義人の死亡を連絡する期限は、法律で全国一律に「何日以内」と定められているわけではありません。

ただし、期限がないことは「連絡しなくてよい」「故人の口座を使い続けてよい」という意味ではありません。金融機関が死亡を知ると相続手続が始まり、口座の取引を制限します。支払いの整理に着手したうえで、できるだけ早く取引銀行へ相談するのが基本です。

死亡届を出すと自動的に口座が凍結されるのか

市区町村へ死亡届を提出しただけで、その情報がすべての銀行へ自動的に伝わり、直ちに口座が凍結されるわけではありません。

銀行は、遺族からの連絡などによって名義人の死亡を知った時点で、原則として口座の取引を制限します。凍結の時期や対象取引の詳細は銀行により異なるため、「まだ使えるから問題ない」とは考えず、故人名義の口座として扱います。

銀行が死亡を知ると、何が止まるのか

口座が凍結されると、一般に次のような取引ができなくなります。

取引 確認したいこと
ATM・窓口からの出金 キャッシュカードや暗証番号が分かっていても使用しない
公共料金・カード代などの口座振替 契約先へ支払方法の変更または解約を連絡する
振込・送金 定期的に送金していた先がないか確認する
給与・年金・返金などの入金 振込元にも死亡や振込先変更の手続が必要か確認する

全国銀行協会は、相続の連絡後は亡くなった方の預金口座での取引が原則できなくなると案内しています。ゆうちょ銀行も、死亡の申出後は速やかに口座の入出金を停止し、公共料金や家賃の引き落としに使えないと案内しています。

どの取引がいつ止まるかは金融機関により異なります。口座だけでなく、定期預金、貸金庫、投資信託、ローンなどの取引がないかも、銀行へ確認します。

連絡前後に「入ってくるお金」と「出ていくお金」を確認する

通帳や取引明細を見られる場合は、過去数か月分を見て、継続している入出金を一覧にします。すべての財産を最初から把握する必要はありません。まずは、止まると暮らしに影響するものを優先します。

入金側で確認するもの

  • 公的年金・企業年金
  • 給与・報酬
  • 家賃や配当などの定期収入
  • 税金、保険料、買い物などの還付・返金

年金は銀行口座の手続とは別に、死亡届や未支給年金の請求が必要になる場合があります。

年金の死亡届・未支給年金・企業年金を確認した流れはこちら

出金側で確認するもの

  • 電気・ガス・水道
  • 携帯電話・固定電話・インターネット
  • 新聞・配達サービス
  • 家賃・管理費・固定資産関係
  • 生命保険・損害保険
  • クレジットカード利用代金
  • サブスクリプションや会費
  • ローンや分割払い

契約者本人の死亡で終了するものと、残された家族が使い続けるものを分けます。使い続ける電気や新聞などは契約者・支払方法を変更し、本人だけが使っていた携帯電話やサービスは、各契約先へ解約方法を確認します。

母名義のクレジットカードに携帯電話代と新聞代が残っている

私の場合、母名義のクレジットカードから、母の携帯電話代と新聞代が支払われていたようです。

このとき、銀行口座とクレジットカード、携帯電話、新聞は別々の契約です。銀行の相続手続だけで、カードや各サービスの解約・名義変更まで自動的に終わるわけではありません。

  1. カードの発行会社をカード券面や明細で確認する
  2. カード会社へ、会員が亡くなった場合の退会方法と未払い額を確認する
  3. 携帯電話会社へ死亡による解約・承継と必要書類を確認する
  4. 新聞を継続するなら、契約者と支払方法を父などへ変更する
  5. カード解約後にも届く請求がないか、明細と郵便物を確認する

三井住友カードの公式案内でも、会員が亡くなった場合はカード会社で退会手続を行い、携帯電話料金や公共料金などの継続払いは各契約先へ解約または支払方法の変更を連絡するよう案内しています。連絡後も数か月カード払いが続く場合があるため、未払いがあるかも併せて確認します。

カード会社は発行元によって窓口や必要書類が異なります。カード番号が分からない場合も含め、まずは公式の問い合わせ窓口へ相談します。

故人のキャッシュカードや暗証番号は使わない

家族が暗証番号を知っていても、死亡後に故人名義のキャッシュカードで預金を引き出すことは避けます。

預金は相続財産であり、引き出した金額や使い道をめぐって相続人間の争いになる可能性があります。また、相続放棄を検討する可能性がある場合は、預金を使う行為が判断に影響することもあります。

葬儀費用や当面の生活費が必要な場合は、自己判断でカードを使うのではなく、銀行の相続窓口へ「遺産分割前の相続預金の払戻し制度」が利用できるか相談します。

遺産分割前でも一定額を払い戻せる制度がある

2019年7月から、遺産分割が終わる前でも、相続人が単独で一定額の預金を払い戻せる制度が設けられています。

家庭裁判所の判断を経ずに金融機関へ請求できる上限は、口座ごとに次の式で計算し、同じ金融機関から受け取れる総額は相続人1人につき150万円までです。

相続開始時の口座残高 × 3分の1 × 払戻しを求める相続人の法定相続分

例えば、相続開始時の残高が300万円で、その相続人の法定相続分が2分の1なら、計算上の上限は50万円です。

この制度で払い戻された金額は、その相続人が遺産の一部を取得したものとして、その後の遺産分割で調整されます。必要書類や手続日数は銀行によって異なるため、生活費や葬儀費用に困る場合は、利用できる金額と書類を取引銀行へ確認します。

「口座が止まると生活できない」という不安をどう整理するか

私の父はお金のことを詳しく開示したがらず、銀行へ正式に連絡して口座が止まると、今後の自分の生活に不安があるのだと思います。

このような場合、「相続の手続をしなければならない」と結論だけを迫るより、何が不安なのかを分けて確認する方が話しやすいと考えています。

  • 父自身の口座に、当面の生活費があるか
  • 母の口座から、父の生活に必要な何が支払われているか
  • 父が今後も残したい契約はどれか
  • 現金が必要なのは、いつまでに、何のためか
  • 兄弟など、ほかの相続人へ共有する必要があることは何か

父の生活を優先する方向で遺産を分けることは、相続人全員が事情を共有し、合意したうえで進めることができます。ただし、父が使うお金だからといって、母名義の預金を父や私が単独で自由に引き出せるわけではありません。

父の希望を尊重することと、預金を正式な手続で受け取ることは両立できます。必要なら、銀行の相続窓口へ「残された配偶者の生活費に不安がある」と具体的に伝え、払戻し制度を含めて相談します。

一般的な銀行の相続手続の流れ

  1. 取引銀行を確認する
    通帳、カード、郵便物、口座振替の明細などから確認します。
  2. 銀行へ死亡を連絡する
    相続窓口へ、名義人、死亡日、連絡者、相続人の状況などを伝えます。
  3. 銀行から必要書類の案内を受ける
    遺言書の有無や遺産分割の状況によって書類が変わります。
  4. 戸籍などを集める
    一般に、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍、相続人の戸籍、印鑑証明書などを求められます。
  5. 相続人間で受取方法を決める
    遺言書または遺産分割協議の内容に沿って書類を整えます。
  6. 書類を提出し、払戻しや名義変更を受ける
    不備がなければ、指定した相続人の口座などへ払い戻されます。

必要書類は一律ではありません。遺言書がある場合、遺産分割協議書がある場合、共同相続人全員で請求する場合、仮払いを利用する場合で異なります。先に戸籍を何通も取得するより、銀行へ連絡して案内を受けてから用意する方が無駄を減らせます。

相続手続で使う戸籍と法定相続情報証明制度はこちら

私がこれから確認する順番

私自身は、父が母の口座を把握していることは分かっていますが、口座の内容をすべて共有してもらっているわけではありません。銀行への連絡とクレジットカードの解約はまだ行っていませんが、携帯電話は必要な連絡先を確認したうえで解約しました。

携帯電話は解約し、新聞は父名義の支払いへ変更しました。次にクレジットカードの死亡解約と銀行口座の相続手続について、父の希望を確認しながら進める予定です。そのうえで、父自身の生活費に支障が出ない方法を銀行へ相談し、兄弟など、ほかの相続人にも必要な範囲を共有して、正式な相続手続へ進みたいと考えています。

財産が多いか少ないかにかかわらず、故人名義の口座と、残された家族の暮らしを分けて考えることが、最初の整理になると思います。

まとめ:期限探しより、止まると困るものを先に整理する

  • 銀行への死亡連絡に、全国一律の法定期限はない
  • 死亡届の提出だけで、銀行口座が自動的に凍結されるわけではない
  • 銀行が死亡を知ると、原則として入出金や口座振替が制限される
  • 連絡前後に、生活に必要な入金・支払いを一覧にする
  • カード会社、携帯電話、新聞などは銀行とは別に手続する
  • 故人のキャッシュカードや暗証番号を使って引き出さない
  • 当面の生活費が必要なら、遺産分割前の払戻し制度を銀行へ相談する
  • 残された配偶者の希望を尊重しながら、相続人間で共有・合意する
  • 必要書類は銀行の案内を受けてから集める

口座凍結への不安があると、銀行へ連絡すること自体が怖く感じられます。しかし、生活に必要な支払いを先に洗い出し、困っている事情を銀行へ伝えることで、正式な制度の中で選べる方法が見えてきます。

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ここまでの記事では、手続きの全体像、年金、戸籍、銀行口座を順番に整理しました。ほかの手続きも、確認が終わったものから「葬儀後の手続き」カテゴリーに追加します。

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