相続した山林をどうする?持つ・管理を任せる・売る・手放す方法を整理

相続した山林について、持つ・管理を任せる・売る・手放す選択肢を示すアイキャッチ画像 空き家・土地・遠方管理

親から山林を相続し、届出や森林の状態を確認したあとに出てくるのが、

「結局、この山をこれからどうすればいいのか」

という問題です。

自分で林業をする予定がなくても、

  • そのまま持つ
  • 森林組合や林業事業者へ管理を相談する
  • 森林経営管理制度について市町村へ相談する
  • 木材として利用できるか調べる
  • 山林として売却する
  • 相続土地国庫帰属制度などで手放す

といった選択肢があります。

大切なのは、

「山を使わない=すぐ売る」

でも、

「木が生えている=売ればお金になる」

でもないことです。

この記事では、相続した山林を今後どうするか、費用・管理負担・利用価値・売却可能性を順番に比較します。

※山林の場所・名義自体がまだ分からない場合は、先に「親が所有していた土地・建物をどう調べる?固定資産税・登記・祖父名義まで確認する方法」を確認してください。山林が見つかったばかりで、森林所有者届出・保安林・林地台帳などをまだ確認していない場合は「親から山林を相続したら最初に確認すること」から進みます。


  1. 最初に結論|山林は6つの方向から考える
  2. まず6つの選択肢を比較する
  3. ① 当面そのまま持つ
    1. 山林を持ち続ける場合に確認したい負担
    2. 「税金が安いから持つ」だけでは判断しない
  4. ② 森林組合・林業事業者へ管理を相談する
    1. 「施業」って何?
    2. 森林組合へ聞いてみたいこと
    3. どんな山でも引き受けてもらえるわけではない
  5. ③ 森林経営管理制度を市町村へ相談する
    1. 市町村から連絡が来るまで待つ制度ではない
    2. 自治体が山を引き取る制度ではない
    3. 2026年4月に制度が改正
  6. ④ 木材として利用できるか確認する
    1. 木の値段より「運び出せるか」が重要なこともある
      1. Aの山
      2. Bの山
    2. 木材売却と土地売却は別に考える
    3. 税金も土地と木で扱いが違う場合がある
  7. ⑤ 山林そのものを売る
    1. 最初から一般の不動産会社だけに限定しない
    2. 売れやすさを左右する主なポイント
    3. 「山を買い取ります」という話にも確認が必要
    4. 売れない場合はどうする?
  8. ⑥ 相続土地国庫帰属制度を検討する
    1. 山林も国庫帰属の対象になり得る
    2. 木が生えているだけでダメではない
    3. 手入れ不足の森林も注意
    4. 国庫帰属にはいくらかかる?
    5. 隣接する複数の山林には負担金の特例もある
  9. 「持つ」と「手放す」を費用で比較する
  10. 山林ごとに結論を分けてもよい
      1. 山A
      2. 山B
      3. 山C
  11. 最終比較表
  12. 今日やるなら、この5つ
    1. 1.今後自分で管理できるか考える
    2. 2.森林組合等へ管理・林業利用を相談する
    3. 3.市町村へ森林経営管理制度を聞く
    4. 4.売却需要を確認する
    5. 5.売れない場合は国庫帰属も確認する
  13. 山林の今後を決める確認シート
  14. 相談先まとめ
  15. まとめ|山林は「価値がある・ない」ではなく、管理と出口を分けて考える
  16. 関連する記事
  17. 主な情報源・確認日

最初に結論|山林は6つの方向から考える

相続した山林は、大きく次の6方向で考えます。

相続した山林の状態を確認
    ↓
今後どうする?
    ↓
├─ ① 当面そのまま持つ
│
├─ ② 森林組合・林業事業者へ管理を相談
│
├─ ③ 森林経営管理制度について市町村へ相談
│
├─ ④ 木材として利用する
│
├─ ⑤ 山林そのものを売却する
│
└─ ⑥ 手放す方法を検討する

最初から1つに決めなくても構いません。

例えば、

当面は持つ

市町村へ森林経営管理制度を相談

売却できる可能性も調べる

という進め方もできます。


まず6つの選択肢を比較する

選択肢 向いているケース 主な確認
持つ 管理負担が小さい、将来利用する可能性がある 税金、危険木、管理状況
管理を任せる 自分では管理できない 森林組合・林業事業者
森林経営管理制度 手入れ不足で自分では管理困難 市町村
木材利用 林業利用できる可能性がある 樹種、林齢、道路、搬出費
山林売却 土地として買い手が見込める 道路、境界、需要、買主
手放す 利用予定がなく、管理負担を残したくない 国庫帰属等の要件・費用

どれが正しいというものではありません。

その山にどのくらい価値・費用・管理負担があるか

によって変わります。


① 当面そのまま持つ

山林を相続したからといって、すぐ何かをしなければならないとは限りません。

例えば、

  • 今のところ危険な状態ではない
  • 森林組合等による管理が続いている
  • 固定資産税等の負担が小さい
  • 将来、地域で森林整備が行われる可能性がある
  • 家族として残しておきたい

といった場合は、当面所有する選択肢もあります。

ただし、

持つ=何も確認しない

ではありません。


山林を持ち続ける場合に確認したい負担

山によって違いますが、例えば次のような負担があります。

負担 内容
固定資産税 土地を所有することで発生
森林管理 必要に応じて間伐・保育等
危険木対応 道路・住宅等に影響する木がある場合
現地確認 遠方なら交通費等も発生
境界確認 売却・伐採等を行う際に必要になることがある
次の相続 持ち続ければ将来再び相続対象になる

毎年必ずすべて発生するわけではありません。

そのため、農地と同じように、

この山を1年間持つために、実際に何にいくら使っているか

を書き出します。


「税金が安いから持つ」だけでは判断しない

山林では固定資産税の負担が小さく見えることがあります。

しかし、

  • 危険木
  • 土砂災害等への対応
  • 管理委託
  • 遠方への移動
  • 将来の次の相続

まで含めると判断が変わることがあります。

逆に、管理上大きな問題がなく、費用もほとんど発生していないなら、急いで手放す必要がない場合もあります。


② 森林組合・林業事業者へ管理を相談する

自分では森林を管理できなくても、

自分で管理できない=売却

ではありません。

森林組合や地域の林業事業者へ、

  • 現在の森林の状態
  • 間伐が必要か
  • 木材として利用できるか
  • 管理を依頼できるか
  • 周囲の森林とまとめて施業できるか

を相談できる場合があります。


「施業」って何?

森林関係では施業(せぎょう)という言葉がよく出ます。

簡単にいうと、

森林を育てたり利用したりするために行う、植林・間伐・伐採などの作業

です。

全部自分で行うという意味ではありません。


森林組合へ聞いてみたいこと

例えば、

「親からこの山を相続しました。自分は林業をしていません。現在の森林の状態や、今後管理が必要かを相談できますか?」

と聞けば十分です。

さらに、

  • 以前、親と取引がなかったか
  • 周囲の森林と一緒に管理できないか
  • 木材として利用できそうか
  • 管理を依頼した場合の費用

を確認します。


どんな山でも引き受けてもらえるわけではない

例えば、

  • 車が入れない
  • 搬出路がない
  • 急斜面
  • 面積が小さい
  • 周囲と離れている
  • 木材として採算が合わない

などの場合、林業事業として扱いにくいことがあります。

そのため、

森林組合へ相談した=管理してもらえる

とは限りません。


③ 森林経営管理制度を市町村へ相談する

自分で管理できず、森林組合等へ直接任せるのも難しい場合に確認したいのが、

森林経営管理制度

です。

簡単にいうと、

手入れが十分でない森林について、市町村が所有者から経営管理を受け、林業経営に向く森林は林業経営体へつなぎ、林業経営に向かない森林は市町村が管理することがある仕組み

です。


市町村から連絡が来るまで待つ制度ではない

市町村が森林所有者へ意向調査を行う仕組みがありますが、

「調査が来るまで何もしなくていい」

というものでもありません。

林野庁の現在の手引では、森林所有者から市町村へ経営管理について申し出ることも可能です。

そのため、

「相続した森林を自分では管理できません。森林経営管理制度の対象になる可能性がありますか?」

と市町村へ相談できます。


自治体が山を引き取る制度ではない

ここは特に注意します。

森林経営管理制度は、

山の所有権を市町村へ渡す制度

ではありません。

一定の条件のもとで、

森林の経営管理を市町村等へ任せる仕組み

です。

所有者でなくなるわけではありません。


2026年4月に制度が改正

森林経営管理法は2026年4月に改正法が施行され、共有者や所有者が分からない森林などに関する手続きも見直されています。細かな制度内容を覚える必要はなく、自分の森林が現在の制度の対象になり得るかを市町村へ確認します。


④ 木材として利用できるか確認する

森林にスギやヒノキがあると、

木を売れば収入になるのでは?

と思うかもしれません。

しかし、木の価格だけで判断できません。

例えば、

木材としての売値
-
伐採費
-
山から運び出す費用
-
作業道等の費用
-
その他必要経費

で考える必要があります。


木の値段より「運び出せるか」が重要なこともある

例えば、

同じ種類・同じ大きさの木でも、

Aの山

  • 林道が近い
  • 作業車が入れる
  • 傾斜が比較的緩い

Bの山

  • 道路から遠い
  • 急斜面
  • 木を運び出しにくい

なら、経済性は大きく変わります。

したがって、

木がたくさんあるから価値が高い

とは決めつけません。


木材売却と土地売却は別に考える

山林では、

立木(りゅうぼく)
=土地に生えている木

と、

土地そのもの

を分けて考えることがあります。

例えば、

  • 木だけ伐採・売却
  • 立木の状態で売却
  • 土地と立木をまとめて売却

などです。


税金も土地と木で扱いが違う場合がある

国税庁では、所有期間が5年を超える山林について、木を伐採して売ったり、立木のまま売ったことによる所得は「山林所得」としています。

一方、山林を土地付きで売った場合、土地部分の利益は譲渡所得として扱われます。

つまり、

山を500万円で売ったから、500万円全部を同じ税金計算にする

とは限りません。

実際に木材や山林を売る段階では、税務署・税理士等へ確認します。

相続した土地については、税務上の取得時期を判断する際、原則として亡くなった人の取得時期を引き継ぐ扱いがあります。山林では土地部分と立木部分で所得区分が異なる場合もあるため、実際に木材や山林を売却する段階では、取得時期・取得費を含めて税務署や税理士等へ確認します。


⑤ 山林そのものを売る

自分や家族が今後利用せず、管理も続けたくない場合は、売却も選択肢です。

ただし山林は、一般的な住宅地とは市場が違います。

買い手候補としては、

  • 隣接森林の所有者
  • 地域の林業経営者
  • 森林を取得したい事業者
  • 山林を扱う不動産会社

などが考えられます。


最初から一般の不動産会社だけに限定しない

住宅やマンションを中心に扱う不動産会社では、山林を扱っていないことがあります。

そのため、

市町村・森林組合へ地域事情を確認
↓
隣接所有者・林業関係者の需要を確認
↓
必要なら山林を扱う不動産会社へ

という進め方が考えられます。


売れやすさを左右する主なポイント

確認 影響
道路 車・林業機械が入れるか
面積 林業利用できるまとまりがあるか
樹種・林齢 木材利用の可能性
傾斜 作業しやすいか
境界 買主が確認しやすいか
保安林等 利用制限
周辺森林 一体で管理できるか
現在の管理状態 追加整備が必要か

単に、

○㎡あるから○万円

とは評価しにくい土地です。


「山を買い取ります」という話にも確認が必要

インターネット上には山林を取得する事業者もあります。

契約する場合は、

  • 誰が買主なのか
  • 所有権は誰へ移るのか
  • 売買代金
  • 仲介手数料・調査費等
  • 登記費用
  • 境界確認の条件
  • 契約後の追加費用

などを確認します。

特に、

売る側がお金を支払って引き取ってもらう

タイプなら、通常の売却とは別のサービスとして慎重に比較します。


売れない場合はどうする?

山林は、

売りに出せば必ず買い手が見つかる

ものではありません。

買い手が見つからない場合は、

売却が難しい
↓
管理を任せられない?
↓
森林経営管理制度は?
↓
持ち続ける負担は?
↓
相続土地国庫帰属制度は?

という順番で考えます。


⑥ 相続土地国庫帰属制度を検討する

相続によって取得した山林については、条件を満たせば、

相続土地国庫帰属制度

によって国へ土地を引き渡す方法があります。

ただし、

不要な山なら国が引き取ってくれる

という制度ではありません。


山林も国庫帰属の対象になり得る

森林だから制度対象外というわけではありません。

ただし、

  • 境界に争いがある
  • 担保権等がある
  • 危険な崖がある
  • 管理を妨げる物がある
  • 通常の管理に過大な費用・労力が必要

などの場合、制度を利用できない可能性があります。


木が生えているだけでダメではない

森林には当然、樹木があります。

法務省も、

森林に通常存在する樹木があること自体

で直ちに国庫帰属できないわけではないとしています。

一方で、

  • 民家や道路へ倒れるおそれのある枯木
  • 定期的な除去が必要な竹
  • 管理を妨げる状態の樹木

などがある場合は問題になることがあります。


手入れ不足の森林も注意

ここは山林特有です。

法務省は、

適切な造林・間伐・保育がされておらず、国が追加整備しなければならない森林

について、国庫帰属が認められない場合があるとしています。

例えば、一定の場合に、

  • 間伐実施を確認できない人工林
  • 追加的な整備が必要な森林

などが該当する可能性があります。

つまり、

管理していない山だから国へ返したい

と思っても、管理不足そのものが審査上問題になる場合があるということです。


国庫帰属にはいくらかかる?

申請時には、

土地1筆につき14,000円の審査手数料

筆(ひつ)とは、登記上の土地を数える単位です。見た目では一つの山でも、登記上複数の土地に分かれていれば複数筆になります。

が必要です。

さらに承認された場合は負担金を納めます。

森林の負担金は、宅地等とは違って面積に応じて計算されます。

法務省が示す計算例では、

森林面積 負担金の例
1,500㎡ 約27万円
3,000㎡ 約30万円

です。

面積に単純比例する計算ではありません。


隣接する複数の山林には負担金の特例もある

隣接する複数筆の土地で一定の条件を満たす場合、

一つの土地として面積を合算して負担金を計算する

特例があります。

森林も対象です。

ただし、審査手数料14,000円は1筆ごとです。

複数の山林を国庫帰属候補にする場合は、法務局本局へ確認します。


「持つ」と「手放す」を費用で比較する

例えば、山林を今後20年間持つ場合、

固定資産税
+
必要な森林管理
+
危険木対応
+
現地確認費
+
将来の次の相続

があります。

一方、今の代で手放す場合は、

売却関係費用
または
国庫帰属の審査手数料+負担金等

が発生する可能性があります。

単純に、

国庫帰属に30万円かかるから高い

ではなく、

この山をあと10年・20年所有した場合、どの程度の負担がありそうか

と比べます。


山林ごとに結論を分けてもよい

複数の山林がある場合、全部を同じ方法にする必要はありません。

例えば、

山A

道路があり、人工林として利用可能
→ 森林組合へ相談

山B

小規模で管理負担もほぼない
→ 当面持つ

山C

遠方・利用予定なし・売却困難
→ 国庫帰属等を検討

という分け方ができます。


最終比較表

選択肢 費用負担 手間 将来相続 収益可能性
持つ 継続 継続 あり 状況による
管理を任せる 委託内容による 軽減できる可能性 あり 状況による
森林経営管理制度 個別に確認 軽減できる可能性 あり(所有権は残る) 状況による
木材利用 伐採・搬出費等 あり 土地は残る 状況による
売却 売却費用等 成立まで必要 なし 売却代金
国庫帰属 手数料・負担金 手続きあり なし なし

この表だけで決めるのではなく、自分の山の状態と合わせて考えます。


今日やるなら、この5つ

1.今後自分で管理できるか考える

YES / NO / 分からない

で構いません。

2.森林組合等へ管理・林業利用を相談する

木材価値だけでなく、

管理できる森林か

を聞きます。

3.市町村へ森林経営管理制度を聞く

「自分では管理できません。この森林について制度の対象になる可能性はありますか?」

と相談します。

4.売却需要を確認する

市町村・森林組合・林業関係者・山林を扱う不動産会社などから情報を集めます。

5.売れない場合は国庫帰属も確認する

法務局本局へ、森林の状態も含めて相談します。


山林の今後を決める確認シート

確認 状況
自分で管理できる ○ / △ / ×
森林組合へ相談 済 / 未
林業利用可能性 あり / なし / 不明
森林経営管理制度 対象可能性あり / なし / 未確認
年間負担 ______円
売却需要 あり / なし / 未確認
木材利用 可能 / 難しい / 未確認
国庫帰属 未相談 / 相談済
次世代が所有したい YES / NO / 未確認

相談先まとめ

困っていること まず相談するところ
森林を管理したい 森林組合・林業事業者
木材利用できるか 森林組合・林業事業者
自分で管理できない 市町村林務担当
森林経営管理制度 市町村林務担当
山林を売りたい 地域事情に詳しい不動産会社・林業関係者等
木材・山林売却の税金 税務署・税理士
国庫帰属 法務局・地方法務局の本局

まとめ|山林は「価値がある・ない」ではなく、管理と出口を分けて考える

相続した山林について、

木が売れそうだから残す

売れないから不要

と単純には判断しません。

まず、

管理できるか

誰かに任せられるか

林業利用できるか

売却できるか

難しければ手放す制度を使えるか

の順に考えます。

森林によっては、木材利用や林業経営につながる場合があります。

一方で、道路や傾斜、管理状況によっては採算が合わない山もあります。

また、自分で管理できなくても森林経営管理制度などの仕組みが使える可能性があります。

それでも利用・売却が難しく、次の世代にも残したくない場合には、相続土地国庫帰属制度まで含めて検討します。

大切なのは、

「山を持っている」というだけで判断せず、その山を誰が、どのように、何年管理するのかまで考えること。

です。

これで、相続した山林について、

確認する

管理する

利用する

売る

手放す

まで一通り判断できるようになります。


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主な情報源・確認日

情報確認日:2026年9月4日。

森林の管理方法、森林経営管理制度の対象、木材としての価値、売却可能性、相続土地国庫帰属制度の可否は森林ごとに異なります。実際に管理・伐採・売却・国庫帰属等を進める際は、市町村、森林組合・林業事業者、法務局、税務署等の最新情報を確認してください。

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